テクノよもやま話
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 久しぶりのシリコンバレー

  04年2月後半に久しぶりで米国カルフォルニアのシリコンバレーを訪問した。

  前回の訪問は15年以上も前である。 研究分野のシフトや担当業務の変更により関係する企業や大学が米国ではロスアンゼルスや東海岸、或いはシカゴなどの中部地域にシフトしたことが遠ざかった要因である。

  最初にシリコンバレーを訪問したのは1974年の6月であり、まだシリコンバレーという呼称も定着していなかった頃であった。  レーザの国際学会がサンフランシスコであり、初めて国際学会で発表し、その前後でシリコンバレーにあるスタンフォード大学やレーザ発振器やレーザの関連部品、結晶などを開発している企業を訪問したのであった。
                
  サンフランシスコの中華街とケーブルカー          南太平洋鉄道

  サンフランシスコとの何回かの往復には、グレイハウンドのバスや懐かしいSouthern Pacific Railway列車も利用した。
 現地は地中海性気候の影響でちょうど日本の梅雨時期が乾季に相当し、道中の枯れた風景に日本の晩秋をイメージし、非 常に違和感を覚えたものであった。

  そのとき訪問した会社の多くは今も同種の事業を継続していることに驚いている。
  Coherent.Inc.は世界トップのレーザ会社に成長し、今もお付き合いをしている。 
  当時の私の研究テーマは音響光学素子であり、当時から関係の事業をしていた Crystal Technology,Isomet等は  今も健在であり、各種の結晶や音響光学デバイスを今もなお事業にしている。

 
  半導体事業からIT産業へと無数のベンチャー企業を創出し、M&Aや企業合併が激しいシリコンバレーで30年経過しても なお同じ事業分野で事業を継続している会社が存在していることは珍しいことである。
  これは、この事業領域がそれほど大きい事業規模でないこと、ユーザもかなり特定されていること、そして技術の成熟に  時間を要するためなどの事業特性を有し、その結果、新規参入も少なく比較的高い利益率を得ていることが最大の要因で あろうと思われる。

  私が開発し、引き継いだ幾つかの音響光学素子も松下電子部品社で今なおカタログに掲載されており、特殊な用途では あるが幅広く利用されているようである。
  
  今回の訪問はやはりレーザ関連のデバイスを開発している会社を訪問することであり、10年前に設立された会社である。
 他のシリコンバレーのベンチャー企業と同様に、この会社もスタンフォード大学の技術をベースに設立されている。4−50名 程度であるがアジア系の若いPh.Dが何名もいる元気な会社であった。
  この会社が 20年後にも同様な事業を生成発展して継続できていることを期待するものである。
             
      Crystal Technology 社                     Stanford 大学
  帰りにスタンフォード大学の前に立ち寄ったが、相変わらずの広大な緑あふれるキャンパスと地中海的な建物集団に懐かしさを感じながら30年前の訪問当時を思い出した旅行であった。 ( 写真はいずれも1974年6月撮影 )