テクノよもやま話
 No2

                                過去の話テクノよもやま話


最近話題の技術,、技術者などについて随時紹介していきます。

No2: 水惑星 今の地球環境に関すること

   「学生の関心度は?

 大学での電気計測講義(15回)の中では、一連の基礎学問以外に最新技術の事例紹介を適宜織り込ませ、技術進歩への関心を持ってもらえるようにしています。その中に必ず含める事例が「地球環境計測」です。

 約46億年前に誕生した地球が他の太陽系惑星と異なる環境変化によって、人類が生存できる現在の地球環境に至るまでの変遷を計測技術と絡めて紹介し、その地球環境が今、どのような問題を有しているのか、その計測や解明手段のポイントを約1時間で講義しています。
 その講義を通して地球環境問題や計測技術の進展などを学生がどのように感じ、また個人の行動に移していくのかなどについて後日レポートとして提出してもらっています。
 
 今の大学生は小・中学校で既に何回か地球環境問題、特に森林破壊や温暖化問題などを学習しているようで、知識としては地球環境がだんだん悪化している認識を持っています。
 私の講義はベースが電気計測ですから計測技術とからめて、地球環境変化の要因とその変化をどういう方法で計測確認しているかを事例として紹介しています。

 その内容の一部は
「地球年齢の確認はどのようにして?。 人類の生存に必要な水の存在、酸素20%の大気成分、平均気温約15℃であること、適当な濃度のオゾン層、これらの形成メカニズムは、またその検証方法は?。

 そして、それらの最適だった地球環境が今どう変化しているのか、その変化はどういう手段で計測されているのか。例えば オーストラリアと日本を結ぶ定期貨物船に搭載した大気ガス収集装置を使って、定められた場所での大気を収集し、ガス分光分析などによってCO2濃度や他の大気成分の場所的、季節経年変化を詳細に観測していること。オゾン層濃度分布を光、電波そして人工衛星などを用いて計測し、オゾンホールの観測や現象メカニズムの解明を行っていること、などの技術をパソコン画面で紹介しています。

 レポートを読むとほぼ全員は観測データや地球植生分布画像などから、地球環境は近年悪くなりつつあるという事実を認識はしている。しかし、関心の深さやだからどうすべきとかの意見では大別して 4グループくらいに分かれている。
  35%程度は講義内容以外にも積極的に調べ、地球環境課題への取組み案(地球に優しい技術開発(燃料電池、省エネ機器など)、日常的な省エネ活動、政府、企業レベルでの行動など)を提言し、個人レベルでできることにも言及している人。
  30%程度は講義内容から得た知識の範囲で考え、問題の認識と他への啓蒙、個人レベルでできることを言及。
  20%程度は講義内容を適当にまとめ、あまり自身の考えを表明していない人。
  残り15%程度の学生は技術の進歩への懐疑心や楽したいという本能を持つ人間の考え方は変わらないから答えはない という論調でのレポートである。

 レポートは後日提出なので何人かが話をしたり、或いは誰かのレポート骨子をベースに追加修正したりしているかとも思われ、先の%の数字は厳密には意味を持たない。また、1時間の講義では、レポートに見られるようにかなりの共感を得てはいるが、今日明日の問題では無い認識しているためすぐに忘れられ、エアコンを効かした居心地よい空間を求めるものと思う。しかし、我々の年代では公害の意識はあったが地球環境問題までには至っていなかった。それが教育によって大学生のほぼ全員が事実として知っていることはすばらしいことだと思う。

 地球環境問題への取組みには、多くの学生も書いていましたが「実態を常に知り、知らせること、出来ることから直ぐにやっていくこと。それには観測する計測技術の進歩も必要であり、地道で継続的な啓蒙活動が必要」ということだと思います。