最新情報NO4  03年11月26日記載

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国際ロボット展 および ナノテクソリューションフェアー  見学記

<総論>ニュースや新聞で微小ヘリコプターや各種のサービスロボが紹介されているのを見て 東京出張のついでに2年ぶりに開催されている国際ロボット展の第2日目を見学した。
 117社27団体参加の国際展ではあるが殆ど国内のメーカや大学の展示である。
   筆者の関心の高いブースのロボットを最新のカメラ付き携帯電話(P505is)で撮影し (一部、撮影禁止の企業からは許可を頂いた)掲示しています。

○ サービスロボ、エンターテイメントロボが人気
   期間4日間の第2日午後からの見学であったが会場は特に一般人向けのサービスロボやエンターテイメントロボのブースでは盛況の人だかりであり、特に実演時間のときはロボットを全く見ることができないほどの混雑振りでもあった。(写真も手ぶれあり)
  従来から話題のホンダやソニーの人間型ロボは出展されていなかった。しかし技術交流プラザとして19の研究機関、大学から開発中のロボット技術が展示されており、産業部門から非産業部門へのロボットを普及させようという意気込みを感じることができた。

           

話題の人間そっくりロボット   世界最小 μFR マイクロフライングロボット
 阪大石黒研とココロ社      最小ロボ ムッシュも人気 セイコーエプソン

     

   
      
  家庭用コミュニケーションロボ    二足歩行ロボの競技大会(ROBO=ONE)も
   ifbot ビジネスデザイン研究所    大会期間中に開催。バンダイロボット研

○ 産業用ロボも復調の兆し
  一方、本来の産業用ロボのブースではコーナが広いこともあり、それほどの混雑振りではないが、昨年夏から今年前半の幾つか見た産業部門の展示会と比べて人が戻ってきている感じがした。相変わらず好調の自動車産業や他の設備分野の回復基調がこの辺にも出ているのかもしれない。
  
 高速化、高精度化という性能追求とともに、複数ロボの協調作業、クリーンな環境での作業、或いは、溶接ワイヤや各種ケーブルの保護などを特徴として製品PRをしていた。
 川崎重工のフリクション接合ロボは世界初というふれ込みであり、アルミの接合を対象に省電力、スパッタレスを特徴にしていた。
 また、大型ロボでは自動車ボディーや大型オートバイを掴んで自由自在に空中を動かしている様子は観客の注目を浴びていた。
 モータやコントローラ、視覚センサなどのなどの要素機器・部材の展示も多くこちらも少しずつ景気回復の兆しが見られそうであった。

     
    大型バイクも軽々と振り回す    世界初の摩擦を利用したスポット接合ロボ
    川崎重工(ロボットもバイクも)          川崎重工

     
  大型フラットデスプレイ用ガラス板も   5台ものロボットがぶつからず協調
  安全に搬送できるクリーンロボ      して溶接作業をしている

     
  潜水して作業ができるロボット     全方向移動ロボ 災害現場などでの
  神戸メカトロニクス社         作業を想定   電気通信大学


○ ナノテク分野では独立行政法人の積極的技術PRが盛ん

期間中併設してナノテクに関する展示会があり、ここも覗いた。ナノテクブームが続いており、先行しているかつての国立研究機関の積極的な技術展示と何とか売り込もうとする研究者たちの姿勢が目に付いた。これは最近の他の展示会でもこの傾向が見られることでもある。

<独立行政法人の研究機関への期待>

筆者がかつて付合っていた時代の国研では、研究成果の評価対象が論文に裏付けられた独創性であり、研究者のやりたいテーマを選択していた傾向があった。そしてその成果の実現にはそれほど固守せず、希望があれば共同研究のような形で人を派遣してもらい自己習得が主であったと思う。今のように途中段階でも積極的に展示会などに出展し、ユーザの意見を聞いたり、成果の民間への移転を積極的に求める姿勢への転換は税金の国民への還元という意味でも望ましい形に近づいたとも考える。

また、社会に役に立つ研究を進める、そういう意味では民間企業の研究機関の姿勢にかなり接近して来た。但し、社会に役立つまでの期間やその与えるインパクト、影響力については民間企業で追求しがたい大きいものに目標設定するべきであろうと思う。

研究テーマの分類には民間企業では基礎研究、応用研究、開発研究、商品開発と分けたり、中長期テーマ、短期テーマと分けたりし、経営資源の分配をそれぞれR&D 戦略によって決めている。エレクトロニクス分野の大企業では中長期が2割程度で大部分が短期テーマになっている。

独立行政法人ではこの割合は多分逆の割合に、スタート時点では全てが中長期テーマで、その進展に従い5から10%程度が民間へのトランスファーが可能な状況になっているのかもしれない。経営の分かる有識者が参加しつつあるようで、MOT(マネージメントオブ テクノロジー)が有効に発揮され、民間企業との役割分担と連携によって社会を健全化する研究開発を進めていただきたいと期待する。    以上