NO3 03年10月13日記載
「技術者の創造性 : 成熟から成長へのリニューアル」
最近、ある会社から「技術者の創造性に関するテーマ」での講演を依頼された。
このテーマでは今までも数多くの先人の著作や各種のセミナーが実施されていることもあり、
さらに副題として「成熟から成長へのリニューアル」を付けて調査し、まとめ上げた。
かつて私の所属していた会社の事業分野にも成熟期から衰退期に入ろうとする分野も多かった
ため、その当時、苦悩しつつ考えて実行してきた施策の検証にもなり、自分自身にも多いに勉強に
なった機会であった。
特に参考になった著作は以下の2冊であった。
@ 「成熟企業の復活」 石倉洋子訳 文眞堂出版 著者: チャールス・ベイドン‐フラー
(ロンドン大教授) ジョン・M・ストップフォード(ロンドンビジネススクール教授)
A 「3の法則」 橋本恵訳 講談社 著者: ジャックディシュ・シース、ラジェンドラ・シソーディア。
調査は、成熟したと言われる事業分野の中でも長く元気を出し続けている会社もあれば、一時は
繁栄を極めても短期間に衰退していく企業もあり、その違いがどこから来るのかであった。今までの
経験から、衰退の原因の大部分はいわゆる“大企業病” であったり、自己満足病であると予測して
いたが、まさしく当人たちが自覚していようとしていまいと感染しているこれらの症状が病根に有った。
大企業病の症状は企業によって様々に現れるが、根源はハングリー性やひたむきさが無くなり、
コンペチターに対して“そこまでやるの”と感心し、コンペチターの“何が何でもやり遂げる”との差に
その後の結果が現れている。
これらの企業においても、大企業病に陥ることを防ぐためにトップは、“常なる革新”とか、“挑戦、
創造”、 などベンチャー企業と同じような慣用用語で叱咤激励するものの、一度病んでしまった
企業精神、風土は 生半可な施策では回復しないのである。
成熟状態から再び成長路線に変革した事例を調べ、その方策を講演では述べた。
一方、技術者は時代を問わず常に創造的な業務を遂行することを求められ、日々革新を求めら
れている。 歴史的に見ても景気の後退期や底辺部で画期的な技術成果によって景気を成長モードに
転換する大きい 役割を果たしている。
表題の “成熟”した事業分野でも技術革新によって成長分野にリニューアルできる可能性も大きく、
特に 会社全体が革新続ける風土になっていれば少なくても成熟分野での発展は可能になる。
日本の社会その ものが成熟期を迎えている現在、企業を再び成長路線にリニューアルする方策や、
革新のエンジン源でもある 技術者の創造性を高める方法の一例を以下のような章立てで紹介した。
(各論、詳細は直接E-mailなどでお問い合わせください)
講演内容: (骨子)
1.技術革命の変遷: 万物流転の法則
○ コンドラチェフの波: 景気の後退期、底辺部で技術革新が発生。
2000年代の波動の主力は バイオ、情報???
○ FA業界の動向: 産業用ロボット販売高推移; まさに成熟分
将来の期待できる分野 非産業ロボ?
○ 万物流転の法則: 製品は必ず成熟する。市場も一見成熟する。
しかし、事業、企業体では成熟は回避できる、或いは長く成長できる
○ 馬車と自動車の販売推移と革新の事例紹介
私の大先輩で入社時の上司でもあられた 渡部昭典博士の資料より追加編集
2.成熟企業、ダイナミック企業
○ 「成熟」は心の持ちようの問題である。
○ ものの見方の差
○ 成熟からの脱却 成功の芽
@成熟分野でも有利な点がある。
A脱却方法は
グループ全ての人の行動、考え方の革新
多々ある経営資源の組合せで新しい付加価値創出
技術者が革新のエンジン部分。 開発生産性、創造性の強化、企業家精神
B事例: 洗濯機開発など
3.技術者の創造性を高める工夫
○ 技術者に求められるもの
専門性、創造性、人間性、企業家精神、情熱・チャレンジ精神、国際性、・・・
○ 創造性の高い技術者とは
工夫がうまい、新しいアイデア、問題点発見・解決能力
これらの結果として 提案活発、特許出願、新企画、新製品提案、開発 営業成果
○ 創造力の根源は
自分の欲求・欲望、 他人からの強い要求、感性ひらめき、それを実現できる力
○ 創造力の種類
無から有を創出、 既存のものの組合せで新付加価値、 既存品の機能を向上
○ 高める工夫
@やる気 :指導者側の基本の接し方。 人は大事、 聞く・話す・ほめる・叱る
環境つくり 評価とフィードバック
A考える力: 仕事の手順書{KDD(勘と度胸ででっち上げ)の排除}}
企画設計に時間を、議論j時間多く、 ビジュアル化し体系的に
B専門能力: 目標と問題意識
目標の設定(なりたい姿、ありたい姿の設定)
勉強の機会を多く(自己への投資)、 知識から知恵に
C個人の力からチーム、組織の力をつける
事業戦略、技術戦略の共有化:
コア技術と開発製品のマトリックス表 : ロードマップの共有
大事なことは計画書やマップを作ることでなく、執行すること。
以上 (数多くの事例などはここでは割愛)