テクノよもやま話
 No5
 <成績評価>

 1月中旬から4月始めまで大学での講義がないため、今は比較的暇な時期である。

1月末に学生の成績評価を終えた。

後期の受持ち講義は「起業戦略」、「技術経営論」であり、一般的な試験形式にはなじまないため期末試験は実施していない。しかし、学生の成績評価が必要であり、講義内容の理解度や講義への関心がどの程度深まり、考える力がどの程度ついたか、などから評価しようとしている。学生には事前に「成績評価は最終レポートとほぼ隔週に実施する小演習やレポートの結果、および講義への参加状況(出席と発表や質問状況など)で評価する」ということをシラバスや最初の講義で説明している。

代返が効かず、隔週のレポートや小演習は学生にとって大変だろうが、私にとってもレポートを添削・評価して返却しているためにかなりの負担になる。

今年度は約50人と70人のクラスであり、出席率8090%の学生の提出物を読むだけでもかなりの時間が割かれる。

しかし、「こんなものがあればビジネスになるのでは」とか「ヒットしている新製品がなぜ好評なのか?」などビジネスモデルを考えるレポートなどには非常に感心する内容ものが多い。すでにアルバイトなどでベンチャー事業に近いことを行っている学生も居たり、いずれ親の事業を継続するためにとか、強い関心を持って講義に参加する学生も2〜3割いる。こういう学生のレポートは当然のことながらほぼ毎回、質の高い内容になりレポートを読むのが楽しい。

企業に在籍中はかなりの頻度で就職面接の試験官となって理工科系学生の面談・評価をした。この頃の評価項目と最近ではかなり異なってきているのかもしれないが、やはり問題意識を持ち、積極的に発言し、或は授業が終わった後も人懐っこく質問に来る学生を見ると、こんな学生をメンバーに加えたいなーと思う。

一方、自分が学生の頃はどうだったかと思うに、それほど積極的な学生でも無かった。というより目立たない方であったと思う。

今、私の講義を受けている大半の学生が、まだまだ目立たない学生であり、この大半の学生をいつ目覚めさせ、気付かせるかが学生を預かる大学の役目かと思う。

私の授業では、人数が少なかった時は事前に与えた課題について各人がまず考えてレポートを作り、その後に小グループに分け学生間の討議とその内容発表などを行わせる形態を採用していた。考え、討議し、発表するというサイクルの中で目覚め、気付かせる工夫をしたつもりであった。しかし、学生数が多くなるとこの手法に限界が出てきており、毎年、学生の授業評価やそのコメントなどをベースに、多くの学生に効果のある授業形態を模索している。

学生の私への成績評価が私を目覚め、気付かせてくれているのである。 (20836日)